お芝居の場面と場面を繋ぐのにはいろいろな方法がありますが、暗転というのは、ある程度の時間経過を表現するために有効な手段ではあります。
しかし観客の皆さんの集中や意識が暗転で途切れてしまいがちなので、作り手にとっても暗転は
なるべく少なく、短くありたいものなのです。
そして、ご質問の件ですが、我々は暗転をなるべく短くするために、稽古場からお芝居の稽古同様、転換の稽古もしているのです。明るい中で、何度も何度も。
実際あの狭い舞台上にキャスト、スタッフ合わせて10名近い人間がかなりの早さで動き回っているので、各人の動線を確認して稽古をしておかないと、大事故に繋がりかねません。
昔、ある劇団で暗転中に役者とスタッフがぶつかってしまい、役者が鼻骨骨折という大怪我を負ったため公演続行できなくなった、という話を聞いたことがあります。暗転恐るべしです。
ま、いくら稽古しても、真っ暗闇では私達そんなに早くは動けません。舞台上や小道具に暗くなると光る蓄光テープというものが小さく張ってあったり、観客の皆さんから見えない位置に発光ダイオードの目印がついていたり、スタッフさんが袖の奥のほうをペンライトで照らしてくれたり、いろんな目印を頼りにして私達は早く動いているわけです。
それでも、暗闇が苦手な人は役者さんにも居るもので、STさんは「バナナがすきな人」
の暗転中に間違った方向に動いてしまい、退場できなくなるかと大変焦ったそうです。
その日はそれが原因で、お母さんのエプロンという大事な小道具を持って出るのを忘れるわ、セリフを忘れるわ散々だったので、それ以来地方公演が終わるまで、暗転中はスタッフや共演者に手をひいてもらっていました。 |